初音ミクは何故唯一無二なのか

 音楽をはじめとして絵画、文芸、建築、そして技術、これらは移り変わるものです。ラスコーの洞窟で描かれた動物、英雄を称える叙事詩、ステンドグラスを用いた大教会、弦を打ち鳴らすことで奏でられた音楽、木炭を燃やすことで人に代わる動力源を確立した産業革命などなど、人は物を進化させて、発展させてきました。

 そして21世紀、人はついに声を作り出すことに成功します。そうして登場したのがVOCALOIDです。現在は第5世代に当たるVOCALOID5まで開発がなされており、さらに精密でより人間に近い声を作り出すために研究が進められています。

 その中でクリプトン・フューチャー・メディアが発売したキャラクター・ボーカル・シリーズの第一弾として登場したのが初音ミクです。2007年8月31日に発売された『彼女』はあっという間にインターネット上で人気になり、次元を超えて日本で、そして世界で人気になりました。

 本来であれば、情報化した現代社会においては流行の移り変わりはとても早いため、すぐに消えてしまう存在になるはずでした。リリースはセンセーショナルな出来事ですが、ムーブメントは長く続くものでは無いです。さらに技術は日進月歩で進歩していきますし、他にもCVシリーズは登場していきます。しかし、初音ミクは現代のインターネット文化の象徴になっていますし、他のCVシリーズやインターネット上の有名人とは一線を画した存在となっています。

 これは初音ミク原生期のユーザーと共に作り上げられた時代があったからでしょうか。それだけではありません。初音ミクがアクティブになった時、それは全世界のアマチュアに等しくアクティブになる権利が与えられたのです。それまで一部の限られた人しか作り出すことの出来なかった芸術や技術が草の根的に発生し、発表され、公表され、進化していきました。製作して投稿する。文字にすれば簡単ですが、実際にするのは難しい。しかし、初音ミクはそれを可能にしました。数多のクリエイターたちが初音ミクから飛び出していきました。日本の音楽シーンの最前線にいる米津玄師も元はボカロpとして曲を生み出したクリエイターです。

 そうしてユーザーから数多の人からプロデュースされた初音ミクはたくさんの歌を歌い、踊り、話し、笑い、泣き、そして作りだしました。そして、多くの人から愛されたアイドルは今でも最前線で誰かの書いた歌を歌います。他のVOCALOIDアイドルもいるかもしれない。もしかしたらそれらの方が技術面で上かもしれない。しかし、それでも初音ミクを超えるどころか同じ土俵にすら立てないのは、初音ミクという存在自体が特別であるからではないでしょうか。9月4日に ネギを持ち、しばらくアニソンを歌ってたら、9月20日に【初音ミク】みくみくにしてあげる♪【してやんよ】

が投稿されました。ある意味ここで初音ミクがインターネット上のアイドルになることが決定したのかもしれません。僕自身はこの曲を超える楽曲は未だに初音ミクオリジナルでは登場していないと思いますし、今後も登場することは無いと思います。何がどう転んでもみっくみくになったら何とでもよくなるのは、この曲の力だと思います。

 さて、今回は毛色の違った感じの文章になりました。最近ちょい忙しいので、更新頻度が落ちるかもしれませんが、まあ気が向いたら読んでください。僕も気が向いたら出しますので。では、最後にあの曲のタイトルで締めたいと思います。tell your WORLD

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