ナーロッパに行こう

 まずはナーロッパという言葉の解説をしなければなりません。古典派氏(@aar_kotennha)のツイートより引用すれば、ナーロッパとは「なろう特有の①新大陸式奴隷制度②特に理由のないハーレム制度③魔法あるのに農業関連が遅れがち④魔法あるのに移動手段が遅れがち⑤魔法あるのに文化レベルが遅れがち。これらを内包する世界」となります。しかし、これだと点でバラバラであるため、再定義を行います。

 さて、ナーロッパという言葉を語るにおいて最も大切な『小説家になろう』という小説投稿サイトについて簡単な概略を記します。小説家になろうとは株式会社ヒナプロジェクトが運営する小説投稿サイトです。プロからアマチュアまで幅広い層の書き手が思い思いの文章を手軽に投稿できるサイトです。その中で最も勢力が強いのが『なろう系』と呼ばれるジャンル群です。なろう系という言葉を定義するのは非常に難しく、抽象的な外枠での定義に留まってしまうのですが、それでも無理矢理定義をつけるのであれば、「小説家になろうに投稿された小説の中で、その時々の人気ジャンルの設定を模倣、再構成することで描かれるもの」となるでしょうか。簡単に言えば人気作品のオマージュや設定の引用(これもあまり適切な表現ではないですが)を積み重ねた作品です。その結果が行き着く先として、作品内容が似通ってしまう。つまり、設定のテンプレ化が発生します。

 そのテンプレ化された設定の一つの着地点が“ナーロッパ”です。世界観としては先程の引用の通りですが、現代のハイファンタジーの潮流の一つとしてこのような世界観の乱用が発生したのです。

古典派氏によれば「別にきっちりとした説明がほしい訳じゃなくて、ガバでもいいからそれに至った理由が読者としては欲しいんですわ。

「昔めっちゃ偉い神様が美人の女神囲っていたから男はどんどん女を囲え」みたいなクッソ適当な理由でもいいから」「なんかリツイート先がちょくちょく目に入るけど、僕別になろう式異世界描写が嫌いな訳じゃないんですよ?ただもう少しフレーバーテキストでも構わないから、突っ込んだ設定書いてくれると妄想が広がると言う感じがあるんですはい」また夜切漣は小説家になろうに投稿した『ナーロッパでいこう! ~中世欧州風ではなくゲーム的近世風のすすめ。すぐに使える通貨風習文明技術のお話』では「ファンタジー異世界はゲーム世界であり、中世欧州ではない、と思っています。近世に近いんじゃないかな」と述べています。

 さて、ここまで二つの論を提示しましたが、分かりやすく論点を幾つかに絞っていきましょう。まず一つ目、『ナーロッパはどのような世界を基準にしているのか』です。これは“中世ヨーロッパ”という単語を使用していながら全く中世ヨーロッパではないために、本当にモチーフにしたい世界とは何か、という原点に立ち返った論題です。ナーロッパの議論の原点として「そもそも中世ヨーロッパ風って何だよ」というものがありますが、そこに立ち返って考察していきます。

 次に、『魔法は文明レベルを飛躍的に向上させることができるのか。また出来ないのか』です。ファンタジーといえば魔法がつきものですが、魔法を利用すれば生活が便利になるはずです。生活水準やインフラ等は現代まで行かなくとも近世中期から近代手前ぐらいまでの水準にはなるでしょうし、全く違うベクトルに進歩していてもおかしくありません。

 しかし実態として、戦闘では魔法を使ったとしてもそれ以外での魔法の使用はあまり多くありません。ここでは産業に魔法を組み込むことを“魔法化”と定義しますが、魔法化の発想と限界について探っていきます。

 最後に三つ目、『ハーレムを成立させるためにはどのような理論をでっちあげればいいのか』です。よく主人公の周りにはヒロインが沢山いて、皆主人公を狙っているというものがありますが、モチーフにされた世界を考慮すればそのような事はほぼあり得ません。作者の願望といってしまえばそれまでですが、折角ですので成立させる方法について考えてみましょう。

 本論は様々な論点を“無理やりにでも成立させるためにはどうすれば良いのか”を考察していきます。設定に理由を求めた際に、彼らの世界は○○だからこうなっているのですと声高に宣言できるようにするにはどうするべきか考えるものです。それでは早速見ていきましょう。

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